大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)2313号 判決

清凉飲料税法が昭和二十五年一月一日施行の昭和二十四年法律第二八五号により廃止せられたことは所論のとおりである。しかし同法により清凉飲料税法が廃止されても爾後サイダー玉ラムネ等清凉飲料品の販売移出について税金を課さないこととなつたわけではないし、又この税金を逋脱し又は逋脱せんとした事実を処罰しないことになつたわけでもなく、所論も認めているように、前記昭和二十四年法律第二八五号と同日公布となつた同年法律第二八六号物品税法の一部改正法律によつて、清凉飲料税廃止後は清凉飲料税に代えて物品税を課すこととし、(物品税法第二条参照)同法第十八条によつて、詐欺その他不正の行為を以て物品税を逋脱し又はその逋脱を図りたる者を処罰する(但し清凉飲料税法よりも軽い罰則を以て臨んでいる)こととされているのであるから、本件の如き所為に対しては行為時法によるも、裁判時法によるも等しく処罰され得るものである。従つてもし清凉飲料税法廃止の法律に何等の規定を設けなければ、刑法第六条により犯罪後刑の変更があつたものとして新旧法律を比照し軽い刑を適用すれば足りるわけであるが、所論指摘のとおり、昭和二十四年法律第二八五号附則第十号に「この法律施行前にした行為に関する罰則の適用については尚従前の例による」ことと定められているので、原審は右規定に則つて廃止前の清凉飲料税法を適用処断したのであるから、原審の右措置はもとより適法なものといわなければならない。しかるに所論は憲法第三十九条第一項を論拠として右の附則第十号か憲法違反の規定で無効のものと主張するのである。しかし憲法第三十九条第一項は「何人も実行の時適法であつた行為については刑事上の責任をとはれない」と規定しているのみで所論のようにすべての法令が遡及しないとの原則を樹立したものではないし、ある法律が廃止された以上は、その廃止法律を原則として適用することができないこと迄を宣明したものでもない。本件の如き清凉飲料税逋脱犯については前記のとおり、行為時法によつても裁判時法によつても処罰されることに変りがないのであるから、その孰れを適用するかは、法律がこれを定め得るについては何等制限は存しないものであり、前記法律第二八五号附則第十号も租税負担の公平を尊重すると共にその罰則の適用について時期を同じくする犯罪の処断に均衡を失はしめるが如き事態の発生を防ぐためなお従前の例によるものと定められたものであり、憲法第三十九条に違反するものではない。従つてその違憲なることを前提とする所論は失当であつて採用できない。

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